全国の市区町村は、これまで住民情報の記録や地方税の徴収等の事務処理に必要なシステムをそれぞれ発注し、独自の仕様が採用されていました。またシステムを納入する地方ベンダーは、地元の企業や自治体が関わって立ち上げた企業も多く、各自治体と密接な関係を築いてきました。

 ところが、コロナ対策を通じ、行政デジタル化の遅れが目立ちました。具体例として、特別定額給付金のオンライン申請では、政府と自治体の両システムでスムーズに連携ができず、紙による目視で住民情報を確認したことが挙げられます。これを発端として「それぞれの自治体が独自仕様の情報システムを開発・運用していることが、連携がうまくいかない要因では?」という認識が広がりました。

 そこで政府は、地方自治体の基幹業務(例:住民基本台帳や各種地方税、各種保険等)のシステム仕様を全国で統一し、全自治体に、2025年度末までにその仕様に沿ったシステムに移行するよう求める「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律(法律第40号)」が2021年5月19日に成立しました。実現すればシステム改修費用、職員や業者の負担が減ると言われています。

 他方、今後発生する課題として、①標準仕様の作成 ②システム移行の難度 ③移行に必要なIT人材の確保といった問題点が挙げられます。人的(能力的)・予算的に目途が立たず「5年後」という限られた年数で目標を達成できないと現場の業務は混乱に陥ります。

 また、地方ベンダーもこれまで各自治体の独自仕様に対応できることが強みであり、独自の技術を仕様に盛り込んで他社への乗り換えをしにくくする「ベンダーロックイン」等が発生していましたが、今回の法整備により、連携できるシステムを策定し、ユーザーである自治体に提供できるかが重要となり、従来発想からの転換が求められることとなります。

 【関連資料】

※参議院ホームページ

 議案情報 第204回通常国会

 地方公共団体情報システムの標準化に関する法律案

 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/204/meisai/m204080204031.htm

※総務省ホームページ

 自治体情報システムの標準化・共通化

 https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/chiho/jichitaijoho_system/index.html

※自治体の業務改革を推し進めるものとして、プラットフォーム「Govchois(ガバチョス)」サービスが2021年7月から始まりました。ここでもキーワードとして挙げられているのは「標準化・電子化・効率化」であり、今後自治体にとってやはり重要な発想となります。

・コニカミノルタが自治体DX支援、複合機で培ったノウハウ生かす

 日経クロステック/日経ものづくり

 https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01537/00077/